「てんきや」コラム

#5: パシフィック・ゴーズ

天気予報には欠かせない気象衛星ひまわり。でも、ひまわりの撮った衛星画像はもうすぐ見られなくなってしまいます。

そもそも現在運用されているひまわり5号は今から8年前、1995年3月18日に打ち上げられたのですが、設計寿命は約5年で本来ならとっくに隠居しているはずだったのですが、1999年11月に打ち上げ予定だった後継機MTSAT-1がH-IIロケットもろともお星さまになってしまった…いや、なれなかったため、今まで老体に鞭打って仕事を続けてきたわけです。しかし予定より3年以上も余計に動き続けて、さすがにそろそろ限界。2年前から南半球の観測範囲や回数を減らすなどしてだましだまし使ってきたのですが、燃料切れとなるといかんともしがたいわけで。

さて、打ち上げ失敗したMTSAT-1に代わる衛星MTSAT-1Rは、本来ならば今頃運用開始となっているはずだったのですが…
 ■2000年 3月23日 アメリカのLoral Space & Communications社と契約、2003年春に打ち上げる計画
 ■2001年11月15日 製造の遅れのため、2003年夏まで打ち上げ予定を延期
 ■2003年 4月22日 気象観測用カメラの不具合のため、2003年夏以降に打ち上げを延期
…てな具合に延期を重ねている現状であります。このままでは日本の、そしてアジア太平洋地域の気象観測に重大な空白が生じてしまう…そんな窮状を救ってくれるのが、パシフィック・ゴーズなのです。

GOES-9…日本名、パシフィック・ゴーズ。ひまわり5号と同じ1995年に打ち上げられたアメリカの気象衛星で、後継機GOES-10が運用開始した1998年以降はバックアップ機として西経105度に待機していました。そんな予備機をアメリカが気前よく貸してくれる…はずもなく、拝み倒して貸してもらったというのが実情(かどうかは知らないけれどおそらくきっとそうでしょう…少なくとも費用はすべて日本持ち。まあとにかく、代替機のメドもついて、衛星からの観測できなくなるという最悪の事態は回避できたわけです。

図:GOES-9の位置 運用開始に先立ち、GOES-9を高度36000kmの静止軌道上で西経105度から東経155度まで移動(って、地球を1/4周以上!)。東経155度というと択捉島よりさらに東寄りの位置で、日本の真上というわけではないのでカメラポジションとしてはイマイチなのですが、おそらく軌道上に場所が空いていないのでしょう。画像処理を行うので日本付近の観測には特に問題ないらしいです。それよりも問題なのは、GOES-9もやはり老体の御隠居さんでモーメンタムホイールに不具合を抱えているということでしょう。姿勢制御に制約があるほか、ノイズのために観測に影響が出ているようです。なんか微妙に不安ではありますが、頼りになるのはGOES-9のほかには無いわけで、とにかくMTSAT-1Rが打ちあがるまで頑張ってもらいたいところです。

8年間働きつづけたひまわり5号、パシフィック・ゴーズへの引継ぎは5月22日の予定です。本当に、おつかれさまでした。

(2003/5/5)
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