「てんきや」コラム

#25: 黄砂に吹かれて

私は東京界隈や関西近辺にしか住んだことがないのであまり実感は沸かないのですが、九州や日本海側の地域では黄砂はやっかいな春の使者だと聞きます。そんな黄砂について、1月15日から気象庁が黄砂情報の提供を開始しました。黄砂分布予想図を1日3回発表するほか、天気概況の中でも黄砂情報が提供されます。というわけで、今回は黄砂について。

黄砂はどこから来る?

タクラマカン砂漠・ゴビ砂漠と日本の位置関係
(地図は DEMIS World Map Server より引用)
中国〜日本の地図。タクラマカン砂漠は中国の西端。
黄砂は、中国北西部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠から遠路はるばるやって来ます。その距離、およそ3000〜4000km。最盛期には太平洋を越えてアメリカ大陸まで到達することもあります。 黄砂が中国からやって来るメカニズムは、簡単に言うと、
  • 砂が強風で巻き上がる
  • 上昇気流に乗って対流圏中層(自由大気)に達する
  • 偏西風に乗って東へ東へ
  • という感じです。 当然、発生源に近いほど濃い黄砂に見舞われるわけで、中国国内では特に黄砂の当たり年だった2002年には大変なことになったようです。

    黄砂はどうやって予測する?

    黄砂は西からやって来るので、中国での黄砂の発生状況がわかればいつ日本に到達するかも分かりそうなものです。とはいえ肉眼で確認するだけでは不完全。というのも砂粒の大きさによって、大きい粒は早く落下する、小さい粒はなかなか落下せず遠くに到達する、というように到達距離に違いがあるからです。

    そこで登場するのが、ライダー。ライダー(lidar)とはlight detection and rangingの略で、電波の代わりに光を使ったレーダーのことです(ちなみにレーダー(radar)とはradio detection and rangingの略)。黄砂に向かってレーザー光を発射し反射光を望遠鏡で観測することにより、粒子の高度や大きさ・形状を測定することができます。どこにどのような粒子がどのくらいあるかが分かれば、あとは通常の気象解析で算出した上空の風の状況によって黄砂がどのように広がるかを予報できるわけです。

    黄砂を防ぐには?

    黄砂に見舞われると、軽微なところでは洗濯物が汚れて困るというところから、視界が悪くなって飛行機が運航できなくなるレベルまで様々な影響がありますが、近年の地球温暖化や砂漠化の進行が黄砂を悪化させているという説もあります。ただ、黄砂の発生源が東進しているという研究結果がある一方で、10万年以上前から黄砂は日本に影響していたというデータもあって、砂漠に木を植えようという程度では解決しないのではないかと思います(砂漠の緑化自体は良いことだと思いますが)。というわけで、結局のところ、気象庁の黄砂情報をチェックして、洗濯物は室内に干す、車にはビニールカバーをかける、等々のこまめな対策が一番ではないかと思います。消極的ではありますが。
    【参考文献】
  • 国立環境研究所「環境儀」8号
  • (2004/1/25)
    [前のコラム:虹を見たかい] [次のコラム:天気図に名を残す] [「てんきや」トップページへ]

    84p.net Copyright (C)1996-2004 HASHIMOTO "P!" Takashi このサイトについて...
    This page is hosted by WebKeepers.
    「てんきや」はRead! Meに参戦しています