鳥取のさじアストロパーク・佐治天文台の天文ニュースによると、2004年3月31日に地球の中心から約13000kmの距離を直径8mの小天体2004 FU162が通過するという超ニアミスがあったそうです。この「地球の中心から約13000km」というのがどのような距離かというのを考えてみるのが今回のテーマです。
というわけで、図を見てもらえば分かるように、最接近時には地球の半径とほぼ同じ程度の距離しか離れていなかったわけですから、超々々々々ニアミスと言えるわけです。
地球の大気の構造は左図のようになっていて、それぞれの層は次のような特徴があります(注:左図とは上下関係が逆になっています)。
文字どおり大気が対流している領域。雲ができる、雨が降るなどの気象現象が起きるのもすべて対流圏内の話。
対流圏では高度が上昇するにつれて気温が低下するのに対し、高度が高くなるほど気温が上昇するのが成層圏の特徴。これは高度25km付近のオゾン層において、紫外線が吸収される際に熱を発生するのが原因。
中間圏では再び高度が高くなるほど気温が低下する。対流圏から中間圏にかけては、大気の組成(窒素78%、酸素20%、残りはその他)はほぼ一定。
熱圏では紫外線によって原子内から電子が飛び出し電離した状態となる。電波を反射する電離層ができるのはこのため。またオーロラ発生の原因ともなる。
高度が高くなればなるほど気圧が低くなる(=空気が薄くなる)わけで、高度50kmで約1hPa、高度100kmでは約0.0003hPaとなります。ではどこまでが大気圏かと言うと明確な線引きがあるわけではないのですが、国際航空連盟では「高度100kmより上は宇宙」と定義しています。
さて、前置きが長くなりましたが、対流圏・成層圏・中間圏・熱圏の高度と比較すると今回の小天体はどのくらいの高度を飛んで行ったことになるのでしょうか? というわけで比較してみた図がこちら。建設中の国際宇宙ステーションが高度約400kmですから、2004 FU162の高度6600kmというのは遥か彼方の話です。
…まあ、今からそんなことを心配するのは、まさに杞憂なわけですが。