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 「白すぎるもの」

 白と聞いてパッと思いつく物を上げてみると、塩、砂糖、雪、雲、パンダの黒じゃない部分。などが思い浮かぶ。その中でも、塩と砂糖は、その白さが同じであるために、時として破壊力抜群の料理を一瞬で作り上げてしまう事もある。ここで問題となって来るのは、何故、このような破壊力抜群の危険な物質である塩と砂糖を、いつまでも同じ色としておくのか。と言う事である。塩と砂糖、そのどちらかが白である事を辞退し、他の色に染まれば、問題は解決し、その破壊力の驚異から人類は逃れる事が出来るのだ。しかし、議論は議論を、問題は問題を生むと言うように、塩砂糖問題においても、議論が行われる度に、更なる大問題、どちらが白を辞退するのか。と言う難問が必ず発生してしまいます。

 このような理由で、塩と砂糖は、未だにどちらもが白である事を主張して譲らず、それが所以に、我々人類は未だに、破壊的料理襲来の恐怖を常に感じながらの生活を強いられているのである。しかし、そんな現状を憂慮した一部の砂糖は、自ら白を辞退し、黒砂糖として細々とだが活動を続けている事は、みなさんもご存じの筈です。

 話は、人類が2本足で立ち上がった頃より続く、塩砂糖戦争にまで発展してしまいましたが、その他で白となると、洗剤CMのTシャツ、ペンギンの黒じゃない部分。更には、絵を描こうと画用紙を広げた時の、手紙を書こうと便箋を取り出した時の、報告書を書こうとワープロを立ち上げた時の、目の前に広がる一面の白と言う物には、一種独特の威圧感のような物があります。まさに、白すぎる。と言う言葉がぴったりと当てはまります。その白さは、時に作家を地の果てへ旅立たせてしまったり、コラム「夏休み」にもありますように、絵画「海と空」を生み出してしまったりします。

 ここまで来れば、もうみなさんお分かりでしょう。白には、潔白と言う言葉で代表されるように、清楚かつ清潔なイメージがあります。しかし、時に白は、我々人類を恐怖のどん底に陥れる事もあるのです。そう、とても恐ろしい物なのです。その清楚な感じの見た目に騙されてはいけません。白は常に我々の心の隙を狙っています。企画書、報告書、論文、作文、課題、宿題。。放って置いて油断してると、白が襲って来ます。お気をつけて。油断は大敵。

(1999.8.5)

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