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「てんきや」コラム

#4: ガリレオのススメ

ここ2,3日で急に暖かくなってきて、またもや気温の変化にカラダがついていかなさげな今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。さて今日はそんな気温を測る温度計の話を。

温度計はなんで温度が測れるのか? いや温度が測れなければ温度計ではないのですが、それはさておき。

いちばん身近なのは、物質の膨張を利用した温度計。水銀体温計(最近あまり見ませんが)が熱による膨張を利用した温度計の代表例です。たいていの物質は温度が高くなると体積が大きくなるので(熱膨張)、その変化を目に見えるようにして目盛りをつければ温度計になります。
ちなみに、「たいていの物質」の例外にあたるのが、水…H2O。何故か水は温度が約4℃のときに体積最小で、4℃よりも冷やすと体積が増加する(何故かって、確か水素結合のせい、って習った記憶があるようなないような)。
ほかには、金属の電気抵抗が温度により変化することを利用した電気式温度計ってのもあります。電子体温計はこのタイプですね。気象観測用の温度計にも使われています。あと、物質が放射する赤外線を測定する放射温度計というのもあります。身近なところではミミッピが放射温度計のなかまです。

さて、長い長い前振りでしたが(っていうか温度計じゃなくて体温計ばっかりだな)、ガリレオのススメ。

ガリレオ・ガリレイ。重いものも軽いものも同じ速度で落下する、ということをピサの斜塔で実験した(と言われている)ガリレオ。彼はまた、空気の熱膨張の原理を利用した温度計も発明したのでした。 …そして400年の時を越えて、いまガリレオ温度計として市販されているのはこのような製品です。直径数センチ、高さ30センチくらいのガラス管のなかに液体が封入されていて、その中に色つきのガラス玉が浮き沈みしているガリレオ温度計。でも、これ、どうやって温度を測るのでしょうか?


ガラス玉の浮いた温度計、これもやはり熱膨張の原理を応用しています。図のように、かたや液体(炭化水素の類らしい)のほうは温度が上がると膨張する(=比重が下がる)、かたやガラス玉のほうは温度が上がってもほとんど膨張しない。というわけで…
 ■気温が低いときは液体のほうが比重が重いので、浮き1浮き2浮き3は全部浮く
 ■気温がT1を超えると、浮き1のほうが液体よりも比重が重くなるので沈む
 ■気温がT2を超えると、浮き2のほうが液体よりも比重が重くなるので沈む
 ■気温がT3を超えると、浮き3液体よりも比重が重くなるので沈む
…てなカンジで、たとえば浮き1浮き2は沈んでいて浮き3だけ浮いていれば、気温はT2〜T3の間、というように気温を測定することができるわけです。これが、ガリレオ温度計の原理です。

このガリレオ温度計、我が家にもあるのですが、意外となかなか良いです。いや何が意外って、ガリレオ温度計は温度を細かく測定しようと思うと浮きの数をどんどん増やす必要があって、普通に考えればインテリアとしての価値しか無さそうじゃないですか(ウチのガリレオ温度計なんて浮きは5個しかなくて、計れるのは18℃〜26℃までの間でしかも2℃きざみしか分からないし)。でも、浮きが1個沈むと「今日は結構あったかいな〜」とか感覚的に分かるので、0.1℃まで読み取れるデジタル温度計よりもむしろ暮らしに役立つような気がするわけです。ていうか、見てて楽しいし。


(2003/4/28)
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