年はじめの寒い早朝だった。小学校4、5年だったと思う。阪急武庫之荘駅の下りのホームから線路をまたいで犬の上半身と下半身が離れてるのを見下ろしていた。乗り遅れた電車が出発した後だ。しばらくして2人の駅員さんがきてそれぞれスコップで持ち上げ運んでいった。ひものようなものがその間をつないでいて湯気がたっていた。僕は駅員さんたちが犬を埋めてしまうのをずっと見ていた。塾にはすでに遅れてしまうことは考えていなかった。すぐに桜の季節になって犬を埋めた側の木にも花が咲いていた。それから何年間かその木の根本はずっと小さく盛り上がっていたけれど忘れられているような感じがすごくいやだった。いまでもあるんかなあとふと思いました。