6月1日は気象記念日。1875年(明治8年)のこの日、東京で気象と地震の観測が開始されたことを記念した日です。気象庁では毎年気象記念日に式典を行うとともに(今年はマスコットキャラクター「はれるん」のお披露目がある予定)、新しい予報をスタートさせています。去年は降水短時間予報の内容が充実されましたが(コラム「レーダー+アメダス=」を参照)、今年は降水ナウキャストの提供が開始されます。
降水ナウキャストとは?天気予報、英語で言うと weather forecast。天気予報が「未来を(fore)告げる(cast)」のに対して、nowcast は「今を(now)告げる(cast)」というものです。造語だと思いますが、googleで"nowcast"を検索してみた限りでは和製英語というわけではなく海外でも広く使われていう言葉のようです。さて、6月から始まる降水ナウキャスト。気象レーダーとアメダス降水量のデータを組み合わせて直近の降水量を予想する…というと、前述の降水短時間予報とよく似ていますが、比較すると下表のような違いがあります。
降水短時間予報と比較すると、降水ナウキャストの特徴は「きめ細かさ」。時間的にも空間的にも細かい予想が発表されるので、例えば「30分後に買い物に行くのに傘は必要かしら?」というようなときに威力を発揮しそうです。ただデータがあまりにきめ細かいので、テレビのように広い範囲の人に同時に伝えるメディアには不向きかもしれません。逆にGPS付き携帯電話と組み合わせて今いる場所の予報を伝えたり、雨が降る前に洗濯物を取り込むようにメールでお知らせするなどの用途には最適なので、今後そういったサービスが続々と登場するのではないかと思います。気象庁のホームページでも今年度中には降水ナウキャストの情報を提供する予定になっています。 台風予報も進歩6月1日から変わる予報のもう1つは、台風の予報円です。台風の進路予想図ではおなじみのものですが、予報円の定義は「台風の中心がXX時間後に到達すると予想される範囲を円で表したもの」で、台風の中心が予報円に入る確率は70%となっています。さて、この予報円のなにが変わるかというと、予報円の大きさがいままでよりも小さくなります。これは予報精度が向上して台風の進路が確実に予想できるようになったためで、最大風速25m以上となる可能性のある暴風警戒域の範囲も今までより狭くなります。 予報が正確になるのは非常に良いことなのですが、注意すべき点がひとつ。台風予報を見て、自分の住んでいるところが予報円や暴風警戒域の端にぎりぎりひっかかっているような場合、今までは「まあたぶん直撃は無いだろう」とたかをくくっていたこともあったかもしれませんが、今後は「これはヤバいかも」と考えないと危険です。精度の上がった台風予報、どうせ外れるから…という考え方は改めたほうが身のためですよ。 |
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