「てんきや」コラム

#29: 初夏はUV注意報

今年は花粉の飛散がそれほどでもなかったようで、ほっとしている方も多いのではないかと思いますが、花粉症の次は紫外線の脅威が待ち構えています。紫外線対策は真夏だけでなく春から準備しないと…というのも最近では割と常識になりつつありますが、今日はそのあたりのお話を。

そも、紫外線とは?

可視光線と紫外線の関係
(参考:理科年表)
紫外線は紫よりも波長が短い(周波数は高い)。
紫外線。英語で言うとultraviolet rays、略してUV。紫外線は(ついでに赤外線も)電磁波としてみると可視光線とほとんど同じもので、人間の眼に見えるか見えないかで区別されます。で、紫よりも波長が短くて目に見えない電磁波が紫外線、赤よりも波長が長くて目に見えない電磁波が赤外線です(ちなみに赤外線はinfrared rays、略してIR…UVほど一般的ではないですね)

可視光線と紫外線の違いは目に見えるか見えないかの違いだと言いましたが、紫外線は浴びると皮膚ガンを引き起こす原因となるなど人体に影響を及ぼすことは御存知のとおり。人体に影響どころか、あらゆる生物にとって紫外線は有害です。これは紫外線により細胞核の染色体が破壊され細胞の増殖が不可能になるから…らしいです。

紫外線といえばオゾンホールの影響が…と思いがちですが、紫外線を吸収しているのはオゾン層だけではありません。高度数百キロメートルの熱圏や中間圏の大気でも紫外線は吸収されており、地球上の人間や生物を守っています。また雲によっても吸収・散乱されるため、地表における紫外線の量は、曇りの日は晴れの日の6〜7割、雨の日は2〜3割程度まで減少します。

紫外線のシーズン

:北緯35度の大気上端における日射量
:東京における全天日射量(日積算値)
太陽から受け取るエネルギー量、大気圏外では夏至頃に最大。地表では5月頃に最大。
さて、地球は太陽からマイクロ波・赤外線・可視光線・紫外線・X線などの電磁波を受けているわけですが、その量は季節によって異なります。これは太陽が斜めから入射すると真上から入射する場合にくらべて受け取るエネルギーが少なくなるためです(コラム「試験に出る気象」を参照)。太陽から地球に到達するエネルギーの量は、右図の赤色のグラフのように夏至の頃に最大、冬至のころに最小となります。ただしこれは 大気圏の外での話。地表では青色のグラフのように5月と8月にピークがあります。これは6月〜7月といえば梅雨の時期、曇りがちで陽が射さない日が多いためです(なので梅雨の無い北海道では6月が日射量最大となります)。このグラフを見れば、4月〜5月の紫外線対策が真夏と同じくらい大切である、ということが理解してもらえると思います。

紫外線から身を守るには

紫外線から身を守るには、当たり前のことですが、太陽の光を浴びないように努力するのが一番でしょう。昼間は一切外出しない、というわけにもいかないとは思いますが、太陽が高く昇っている時間帯を避けるだけでも随分マシでしょう(太陽が真上から射すより斜めから射すときのほうが紫外線量が少ない)。あとは半袖より長袖、服や日傘は白より黒…暑苦しく感じますが、あとで後悔しないためには我慢ガマン。

紫外線情報へのリンク

資生堂 UV-Information
国内3地点・海外6地点の紫外線の測定値をリアルタイムに提供しています。また化粧品メーカーらしくUVケア製品の情報も充実。

ウェザーニューズ 紫外線情報
国内各地のきょう・あすの紫外線予報を見ることができます。また国内・海外各地の季節ごとの紫外線量の傾向をグラフで見ることができるので、旅行前の情報収集にも便利。

【参考文献】
  • 一般気象学 第2版
  • 理科年表(第77冊(平成16年))
  • (2004/4/16)
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